発達障害児の医療・療育・教育

発達障害児の医療・療育・教育 の詳細

表題の「発達障害」は医療的な意味での発達障害であり、発達になんらかの遅れや偏りがあることを指しています。ですので、知的障害や脳性麻痺、重度心身障害まで本書では扱っています。「発達障害」という概念が国や時代、分野によって異なることは重々承知ですが、本書を取るの人の多くがおそらく福祉や教育関係者であろうことを考えると少し混乱を招くかなという危惧は否めません。発達障害者支援法という法律で決められているような範囲での理解が一般的でしょう。そういったことをのぞけば、現場で出会う様々な障害について丁寧かつわかりやすくまとめられていると思います。医療サイドに偏りすぎず、福祉や教育の関係者がどのようなことを知りたいのかを十分に承知して書かれたと推察されます。また、障害そのものについての説明だけでなく、療育や特別支援教育についてもページが割かれているのも、発達障害を持つ人を生涯にわたって支援していくという昨今の動静によく適合していると感じました。広汎性発達障害についての書は汗牛充棟の感もありますが、それ以外の「発達障害」についてはわかりやすくまとめられた本は思った以上に少ないのが現状です。本書は一冊でいろいろな障害に関する概略を知ることが出来る便利な書であると推薦します。