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秘めたる空戦―三式戦「飛燕」の死闘 (光人社NF文庫)


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秘めたる空戦―三式戦「飛燕」の死闘 (光人社NF文庫) の詳細

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書名 : 秘めたる空戦―三式戦「飛燕」の死闘 (光人社NF文庫)
作者 : 松本 良男
ISBN-10 : 4769821360
発売日 : 2004/10/1
カテゴリー : 本
以下は 秘めたる空戦―三式戦「飛燕」の死闘 (光人社NF文庫) の最も正直なレビューです。 この本を読んだり購入したりする場合は、これを検討してください。
本書は、大学卒業の幹部候補生で陸軍航空隊へ入隊した松本良男氏の実体験を、大学卒の海軍予備士官として海軍航空隊の実体験を持ち、戦後、ジャーナリスト、作家となられた幾瀬勝彬氏が脚色して代行執筆した史実であろうと、私は考えています。あたかも、海軍撃墜王の岩本徹三氏の空戦記録を奥様が保管していたものを昭和47年6月「今日の話題社」編集部がリライト代筆して作品化された「零戦撃墜王」に類似しています。(私は岩本氏が直筆された本書の岩本ノートの色鉛筆描きされた図の写真を持っています)別の事例でいえば、新田次郎氏が執筆して映画化もされた「八甲田山死の彷徨」のように大元は史実を描いていますが、細部では劇性を盛り上げるためのフィクションの記述がモザイク模様のように事実と虚構が盛り込まれている。それが、いっそう作品の臨場感を高めている。ですから、読者は正しい客観的知識をベースに事実と虚構を読み分けつつ、作品を楽しめば宜しいのではないでしょうか?根本的部分では、小沢郁夫大尉は特定の個人か、あるいは松本氏が偶像とした理想の隊長か?とか、103独立中隊という部隊は、特定の実在した部隊か?あるいは、本作品を執筆するために演出された独立中隊の普遍的姿を象徴したシンボルなのか?などは、防衛庁戦史を1枚ずつひも解いて、調査してゆけば判明はすることでしょう。しかし、本書の記述範囲内であれば、その個人や部隊が実在の個体であっても、いくつかの事例を象徴・偶像化したフィクションであっても、作品の価値を棄損するものではなく、むしろ真実の部分を浮き彫りにする背景設定として生きてくると評価されるものだと思います。陸海軍の航空隊関係の戦記は40年間に多数拝読しましたが「秘めたる・・・」のタイトル通り、「作品」としては最高の感動を与えてくれました。それは3つの面からで①読者自身が「飛燕」を乗りこなしているような空戦での三舵の操作性の臨場感と弾道速度と後落量までが伝わってくるマウザー機関砲とエリコン20mm1号機関砲の違いの手応え。②独立中隊という強い絆の中での小沢隊長と、松本少尉達搭乗員、整備員、地上要員の人間ドラマ。③「飛燕」のメカを極め尽した日野軍曹の技術的実戦追及の整備の匠技。特に小沢隊長と松本少尉の「終生カモ番を命ずる」とか、松本少尉と日野軍曹の「整備ミスの報いとして(罰ではなく)終生機付長を命ずる」などの命令を超えた心と心のやりとりの人間模様は、電車で通勤途中に恥ずかしくも感動の落涙を禁じ得ませんでした。このような脚色を盛り上げる人間描写の面では、宮崎俊氏指摘のように小説的な脚色が入っているのかもしれません。しかし、事実として陸軍航空隊の海軍航空隊との大局的な階級制度に伴う人的交流の違いは客観的に記述されています。士官と下士官兵を徹底して差別化した海軍は羽切松雄氏や坂井三郎氏のベテラン下士官ですら、部隊移動の際は輸送船で一か月、兵学校出立ての雛鷲が空輸で数時間。一方で、陸軍では実力本位で「97重爆空戦記」にあるよう久保義明中尉ですら、雛鷲時代は輸送船移動、ベテラン下士官は空輸でした。多くの書籍で共通した記載です。「翼の決戦」鉄脚のエースの檜与平少佐が中尉時代も下士官の訓練飛行を横目に機銃弾帯の弾コメしかやらせてもらえなかったと書かれています。空戦後の地上ミーティングで、坂井三郎氏は海軍航空隊では士官と下士官兵では生活空間からして全く別なので交流はなかったとあります。一方、本書他、多くの陸軍パイロットの書籍(例えば飛行第64戦隊の黒江、桧、安田、宮本各氏の著書)では士官(将校)と下士官の濃密な人間的、技術的な交流が描かれています。出撃も陸軍は必ず少佐の戦隊長が自ら先頭で出撃しましたが、海軍では飛行隊長は命令を出す側に回り、大尉クラスの分隊長が代理出撃するのが習慣でした。陸軍航空隊の方が将校と下士官の距離が海軍航空隊より近かったのです。一般的にはスマートで進歩的な海軍、泥臭い陸軍というイメージがありますが航空隊については上記が事実であり、こういった根本的な面では、本書に脚色は無いと言えます。昇進でもしかりで、本書、松本少尉は赤紙招集の二等兵(陸軍は大卒も皆二等兵)から幹部候補生試験を受けて、将校たる少尉に戦地で(小沢隊長の推薦もあり)昇進しています。日野軍曹は幹部候補生試験に落ちて、下士官の止まりでしたが、今でいえば、学校のペーパー試験は苦手でも、理系の技術ではピカいちのメカオタク少年だったからでしょう。一方、海軍は兵学校以外は大学生が予備士官として採用される以外は、志願兵でも徴収兵でも兵曹長まで約15年間程度かけて昇進して行かない限りは(特務)士官にはなれず、しかも特務士官は将校扱いではありませんでした。この当たりも本書に見られる部隊内各階級の隊員相互の人的交流の描写がフィクションではなく、成立しうる裏付けになっていると思います。ただし、兵舎やウエワクの街での女性とのほのかな交流などの描写、一挙一動などは、ストーリー展開上、フィクションは入っているのかもしれません。一方で、例えば冒頭の81号作戦の無謀さに対しての搭乗員の率直な反応は、当時の軍上層部の作戦指導に対して、現場最前線の一兵卒だけでなく、管理職たる隊長レベルまでが「死にたかねえよなあ。食わなくてもいいから、食われるなよ」と、どう考え、どう感じていたかが、その人間描写によって生き生きと伝わってきて、そういう意味では防衛庁保管の公式戦史などでは絶対にわからない貴重な事実です。同じ81号作戦に海軍側から零戦隊で参加している本田稔氏の著書を見比べてみると、陸海軍の意識の差や、飛燕と零戦の空戦性能の違いなどが実感でき、興味深いです。松本氏の大技な高速空戦と、本田氏の捻り込みなどを多用した空戦が同じ昭和18年3月3日の81号作戦の同じダンピール海峡の空戦上の空で展開されていた事実は、零戦と飛燕の空戦技術の差という面でも興味深いです。(他の戦記と照合すると小回りの利く零戦は被害ゼロでしたが、小澤中隊の飛燕は2機食われている)本書のような空戦記で最も真価が問われるのは、空戦の一連の流れと位置取り、その間での敵機との駆け引きと機体の性能、射撃の有効性の事実描写でしょう。これがどこまで真実で、どこが脚色か?で、その書籍の戦記としての評価が分かれるところでしょう。本書を大局的にとらえると、例えば衆知の坂井三郎氏の書籍から読み取れる捻り込みに代表される小技の効く零戦の操縦性と20mm1号機銃の後落量の大きい特性。黒江保雄氏や檜与平氏らの64戦隊の方々書籍からわかる隼の13mm機銃の非力さ等と比較すると、飛燕との対比が鮮明に浮き彫りになります。この点は事実です。ニューギニア・ウエワクの戦地で飛燕にマウザー砲が改造装備されたのは事実で、伊号潜水艦でドイツから技術交換品として輸送された戦記があります。小山伍長の戦記にも同様の記載があります。補給空輸された飛燕2型にエリコン99式1号20mm機関砲が1機だけ装着されていたのは事実か?という命題は証明は不可能ですが、前後の状況から推理すると、松本少尉と日野軍曹が飛燕2型の再教育の為、一旦、内地で川崎(製造メーカー)の実情を経験した記述から推し量ると、エンジン、機体、偽装全てで手探りの状態で仕様が統一されていなかったことが分かります。規格標準化ができていない当時、日本の工業技術水準の実情ですが、そういった試作から脱却できていない新鋭機への期待や実験の意味で1機だけに99式1号20mm機関砲が「何の配慮もなく」取付られた可能性は極めて大きいのではないでしょうか?水冷エンジン不調の首なし飛燕に金星エンジンを装備して五式戦が生まれたのも類似の試行錯誤が生んだ成果といえましょう。ラバウルでも、251空小園司令(前、台南空、副司令=飛行長)の指示で2式複戦の操縦席後部に戦地現場加工で20mm機関砲を斜めに装着して、夜間戦闘機「月光」が誕生したのですから。。。。特に防弾の鎧を着たような巨人機B24に、小沢隊長、松本少尉、加藤少尉の3機で挑む描写は、同じ飛燕での戦闘を小山進氏が描いた「あヽ飛燕戦闘隊」での松井軍曹とのP38共同撃墜空戦の描写と類似したズーミング高速戦闘法で、飛燕の性能を100%生かして、後のェット化後の戦闘を彷彿させるような一撃離脱戦法で圧倒的に勝利している点は、全くの事実でしょう。(同じ戦闘法でも岩本徹三氏の場合とは零戦と飛燕の性能差が如実に出ており、非常に興味深い。同じ零戦でも岩本徹三氏と坂井三郎氏の空戦描写は重戦闘法と軽戦闘法の違いが良くわかり、これと本書の飛燕の戦闘法を比較すると、当時の戦闘法の推移を俯瞰できる)小沢隊長と松本少尉の20mmマウザー砲による打撃に比べ、加藤少尉の12.7mm機銃は的確な命中にも関わらずB24への被害が僅少だった記述は興味深く、両者の性能差を証明しています。それを見た小沢隊長が加藤少尉を下方のP38との空戦群に振り向け、期待通り、加藤少尉が一機撃墜し、それをB24との空戦中も小澤隊長はしっかりと把握できている状況も、技量抜群の独立中隊のレベルの高さが分かります。ベテランは空戦空間の全てが見え、先読みできているのです。細かな描写部分で、小沢隊長がどこまで見えていて(全ての弾道がどこへ命中しているかなど)、どういう指示を無線で出してきたかのなどの細部には、臨場感を演出するためのフィクションはあるのかもしれません。機上無線機の性能面で疑問を呈している評価もありますが、零戦の空一号無線機の電話通信の性能は酷かったようですが、電信(モールス)では岩本徹三氏が実用していたように使える性能でした。小福田少佐が自書記述しているように、空一号では瀬戸内海上空から横空(横須賀)と無線電話が通じあったのが最長距離だっという程度の性能だったようです。一方で隼での64戦隊の加藤少佐も機上無線電話通信には苦労して、ベンガル湾で戦死されるまで性能の悪い無線機を手放さなかったと書かれています。「こちらカトウ、こちらカトウ、ただいまからキュウコウカ、キュウコウカ」と。。。。加藤戦隊長戦死後の64戦隊は隊内機上通信を電話からモールスの略数字2文字の暗号送受信に切り替えています。電話では実用性の限界があり電信の方が了解度が高かったからです。一方で、無線通信の有用性を見出していない部隊では、例えばラバウル時代の台南空の零戦は坂井三郎氏のV138などの機体は空一号無線機のアンテナ支柱がのこぎりで切り落とされています。空気抵抗を減らすためで、空戦性能を少しでも上げるため、機体を軽くする目的優先で無線機は降ろしてしまったと記述しています。小山伍長と松井曹長は飛燕では、無線電話通信しながら空戦していたことが記述されています。従って、初期の零戦自体の空一号は電信のみ、隼は辛うじて電話が実用範囲、飛燕の世代になると無線電話もかなり実用的になっていた事実が分かります。これらは機体構造にも起因し、零戦はパイロットの顔の直前で栄21型1130馬力エンジンが轟音で回り、もの凄い騒音です。これに対して、隼は同じ栄21型エンジンでも操縦席との距離はかなり遠く(パイロットは機体中央)にありますので、エンジン騒音は零戦より軽減されます。更に飛燕は水冷エンジンでパイロット後方下側にあります。操縦席でのパイロットが聞くエンジン騒音は零戦、隼よりも相当低減されていたハズです。つまりヘッドフォンから聞こえる通信音がエンジン騒音に邪魔されず、聞きやすかったわけです。アンテナ支柱も零戦は操縦席後方で垂直尾翼のすぐ前でアンテナ線が短く、電波の輻射効率はがた落ちですが、隼は操縦席前方に支柱があり、垂直尾翼までの距離が長く、アンテナ線が長い分、零戦の2倍以上のアンテナ利得が得られたと計算できます。このあたりも海軍の零戦一本やりだった機上電話通信が陸軍よりも遅れていた理由でしょう。一方、飛行性能面では、他の多くの戦記からも飛燕の急降下時は900Km/時の速度計が振り切れたと記述されており、川崎重工の土井技師の設計思想を見事に実証している機体であることが分かり、零戦や隼とは遺伝子自体が異なる事実で、本書の松本少尉が多用した垂直降下の記述から良くわかります。この面では、零戦で一撃離脱戦法に徹して、200機以上を撃墜した、岩本徹三氏が、もしも飛燕に乗って戦闘していたら。と想像すると、陸海軍の障壁が残念でなりません。300機以上を撃墜したドイツのハルトマンが乗ったMe-bf109で岩本徹三氏が戦ったら、とも想像は広がります。開戦時、陸軍恒州飛行場にて97戦で戦っていた穴吹智軍曹は不時着してきた高雄空や台南空の零戦と20mm機銃が欲しかったと記述されています。同じ側面を裏返しで評価してみますと、本書後半のフィリピン戦で小澤隊長と松本少尉がF6Fに囲まれ、小沢隊長が自爆覚悟で撃墜を重ね、松本少尉を救うシーンがあります。いかにも飛燕のダイナミックな機動性と上昇力を生かした空戦ですが、これと、坂井三郎氏が昭和19年6月に硫黄島上空でF6F、15機と渡り合い、横の面の巴戦に捻り込みの技を上手く取り入れつつ、降下旋回と横滑りを巧みに組み合わせて長時間、F6F15機の射撃を回避して1発の被弾もなく、生還できた記述と比較するえと大変興味深いです。飛燕と零戦の操縦性能の差がはっきりわかりますし、松本少尉は飛燕の性能を、坂井三郎氏は零戦の性能を、それぞれ100%引き出せる操縦法を得意として戦っていたことも分かります。上記のシーンでもしも、小沢隊長が坂井氏が多様した横滑りと降下旋回、捻り込みの技を組合せて回避しつつ、雲中に逃げ込むできたら、松本少尉とともに生還できたかもしれません。しかし、飛燕と一体化して鍛え上げられた二人の空戦法に、そういう戦い方はなかったのでしょう。仮に飛燕で捻りこみや横滑りの「小技」を使おうにも、そういう細やかな操縦性は備わっておらず、軽戦パイロットのテクニックは生かせなかったと思われます。(本書冒頭での昭和18年1月、明野飛行学校でのキ61甲(飛燕)と97戦との模擬空戦での査閲の記述がこれを物語っている)零戦と飛燕の操縦性の差という意味では、P38との初対決シーンの記述も貴重な資料です。小沢隊長は「やんわりかわせ、上だ」と指令しています。この上昇力は零戦でもP38には適いません。しかし、羽切松雄氏など、Aクラスの腕の確かな零戦パイロットの多くは「P38はペロ八で高度4000mで旋回戦に巻き込めば簡単に撃墜でき、楽勝だった」と記述しています。一方、本書で松本少尉はP38の4000mの旋回性能を絶賛し、上昇力、旋回性能ともに飛燕の好敵手と評価していますが、5000m以上の高空では飛燕有利と描いています。この原因は空戦速度にも起因しているかと思います。おそらく零戦は250km/時以下の小回りの利く低速度で戦い、(坂井氏が硫黄島上空で300ノット(560キロ)程度では操縦桿が重くて引ききれなかったと記述しています)飛燕の旋回性能では4000mではP38にはかなわず、三舵の面積が零戦よりも小さい飛燕では、空気の薄い5000m以上の高空で、300~400m/時の空戦速度が丁度良く、この条件では圧倒的に有利だったことが分かる記述です。日野軍曹の機体改造は、当時の日本軍の職人的整備兵達の技術力の高さを証明しています。私の義父は戦時中、中島飛行機武蔵野工場で働いていましたが、当時は2機の零戦の同じ部位の部品を工場で合わせても組み合わず、現場でやすり仕上げしたことがしばしばと回想していました。部品の標準化という工業技術の基本からして、なっていなかったわけで、それを現場戦場の整備兵が汗と根性と技術で補うしかなかったわけです。こいう背景があれば、機付長だった日野軍曹の技術は嫌がおうでも高まります。日野軍曹の機体改造は彼の技量をもってすれば、きっと事実でしょう。その証拠に極めて論理的で数値で説明でき、現代の理論でもリーズナブルに検証できます。例えばラバウル撤退後も海軍の整備兵達は、補給が途絶したラバウルで破損した零戦の複数の機体から稼働機を完成させています。実物は上野の科学博物館の複座に改造された零戦を見学すればわかります。これらを踏まえて、「永遠のゼロ」は坂井三郎氏や吉田一氏等の有名な書籍を切り貼りして脚色したフィクションのお手本であり、劇的な小説傑作戦記ですが、これと本書を見並べて比較すれば、全く違うことがわかります。例えば、「永遠のゼロ」では主人公の宮地飛曹長がラバウルで夜間毎日、眠らずに密かに筋トレをする描写がありますが、これは坂井三郎氏の「大空のサムライ」に記述されている内地訓練時代の様々なストイックともいえる節制と自己訓練(昼間の星を探すとか)の描写をラバウルのシーンにフィクションで持ち込んだものです。しかし実際は、昼間、ソロモンの激闘を戦い抜くには、夜間の睡眠と休息は貴重な戦力ともいえ、その時間のトレーニングは現実的にありえず、どの戦記や体験談にも皆無です。こういう記述こそ、現場の実情と大きく矛盾するフィクションで、事実との大きな矛盾です。ストイックな戦闘機乗りの生活を、実情を知らない読者さんにPRするための演出としては効果的ですが。。。これらと比べると、本書は経験者の事実がなければ描けないでしょう。その意味では、岩本轍三氏の「零戦撃墜王」と並べてみると、共通性がよくわかります。というわけで本書は細かいフィクションがあるかもしれませんが、その骨格はノンフィクションであり、むしろ筆跡によるフィクションが劇的な臨場感を引き出して、読者の心を掴む感動作であり、史実としても貴重な記録と評価しています。(書評者は水交会会員)

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