もっと知りたいサルバドール・ダリ (生涯と作品)

もっと知りたいサルバドール・ダリ (生涯と作品) の詳細

2016年に開催されたダリ展を観て、この本を購入しました。ダリはそんなに好きな画家ではないのですが、その生涯と人物像はとても興味が沸きます。作品の変遷としては、後半の方が落ちついていて好きです。その名声が高まった若かりし頃の特異な絵画は、ちょっとグロテスクで、いかにもダリではありますが、観ていてあまり心地よくありません。この本では、第４章としてスペインに帰還した後の44～84歳が紹介されています。《ポルト・リガトの聖母》（P.62）はダリ展にも展示されていましたが、とても理知的で愛するガラを聖母に見立てて描いているところが興味深いです。戦後にカトリックに帰依したという解説で、納得できました。背景の景色はタイトルにあるポルト・リガトで、ダリの故郷です。その土地の紹介は第1章でされていて、生涯を通じて、作品に登場するキーワードとなるものです。ガラという女性との関係がどれだけ重要なものだったか、ダリの生涯でガラの存在がどう変わってきたのかをコラムなどで知ることが出来ました。本の最後（P.78、79）に、ダリの出会える主な美術館が紹介されていて、日本には諸橋近代美術館というダリ作品を多く所蔵するところが裏磐梯にあることを知りました。こういう情報が掲載されているのも役に立ちます。