エトセトラ VOL.2

エトセトラ VOL.2 の詳細

この本の序文に収められている、『田嶋陽子を救え』という山内マリコさんの文章をネットで読む機会があり、それがとても素晴らしかったのでこの本を買いました。９０年代、田嶋陽子さんのテレビでの扱われ方は、確かにかなり酷いものだったと思います。大ヒットした「逃げ恥」で、主人公のみくりが言った「”好き”の搾取」や、百合ちゃんの「そんな（女は若くないと価値がないという）呪いからはさっさと逃げてしまいなさい」という言葉は、多くの女性から喝采をもって受け入れられましたが、「”好きな男に尽くすことが女の幸せ”とか”女は男に評価されてこそ価値がある”というのはただの呪いである」という、ほぼ同種の主張を３０年前に田嶋さんがテレビで何度も訴えていた時には、世の中のオジサンたちは寄ってたかってその言説を封殺しようとしたし、そのために彼女を「モテないヒステリーのオバサン」というイメージに作り上げていました。「呪い」真っただ中の多くの女たちもまた「あんな風にはなりたくないよね」という感じでちょっと馬鹿にしたりする風潮が、確かにありました。時代が変わった、ととらえることもできますが、じゃあ誰が時代を変えてきたかっていうと、やっぱり田嶋さんのように勇気をもって社会の理不尽に立ち向かってくれた先輩女性たちや、そんな田嶋さんに勇気をもらった世代の女性たちなんだなと、山内さんや柚木麻子さんの文章を読んで感じました。今の時代からあの頃の田嶋さんを捉えなおすと、全然違って見えてくるよ、ということがよくわかる一冊です。あの頃、田嶋陽子さんの登場に心が浮き立った人はもちろん、素晴らしい！と感じていたのにそれを表明できなかった人、田嶋さんってあのコワイオバサンでしょ？と思っている人も、ぜひ読んでみてほしいです。寄稿文は玉石混交って感じで、ちょっと物足りないものもあったので☆４つで